人工ダイヤモンドは「安価・低品質・紛い物?」3大誤解とその価値

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人工ダイヤモンドは工業用途から発展し、宝飾用としても「合成ダイヤモンド」として活用されている。

人工・合成ダイヤモンドと言えば「安価・低品質・紛い物」といったイメージを未だに持っている人も多く居るが、それは大きな誤解である。

今ではエンゲージリングにも人工ダイヤモンドが使われている品もあり、割安で美しい品として需要が高まってきているのだ。

人工ダイヤモンドの品質は天然同様「区別つかず」

人工ダイヤの「安価・低品質・紛い物」といったイメージが誤っているのは、もはや「天然品とほぼ同じである」という部分を理解することが大切。

それらは下記4つの事実を知ることでわかるだろう。

1.「宝石業者が天然・合成品を見分けられないという事実」
2.「権威ある宝石鑑定機関(IGI)が合成ダイヤの品質を認めた」
3.「天然ダイヤ採掘の最大手企業が人工ダイヤの販売開始、人気に」
4.「天然ダイヤVS合成ダイヤの覇権争いが始まっている」

それではまず最初に、「宝石業者が天然・合成品を見分けられないという事実」から解説していこう。

1.宝石業者が天然ダイヤ・人工ダイヤを見分けられない

「天然品・人工品のダイヤモンドの区別が付けられない」という俄かには信じられないことがある。

宝石業者が天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドを間違って購入してしまったという衝撃的な事例がニュースで取り上げられた。

一般的な宝石業者で用いられているダイヤモンドの簡易検査キットでは、もはや人工品と天然品の区別が付けられない。

正確に区別するには、ダイヤモンドを取り扱う宝石鑑定機関にある、特殊な測定装置を使用した精密鑑定が必要であるという。

世界のダイヤモンド市場の中心にあるベルギーのアントワープ。

ここで30年以上宝飾店を営んでダイヤモンドを取引している宝石商にインタビューした内容がある。

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ベルギー・アントワープ。この街の中心部には、ダイヤモンドの宝石店がズラリと軒を連ね、およそ2400社ものダイヤモンド関連の会社が集まる。天然ダイヤの聖地と言われるこの街では合成ダイヤの価値を認めない人も。30年以上、天然ダイヤの取引をしているという親子も合成ダイヤに「脅威は感じない」と話すが、天然ダイヤと合成ダイヤを並べると表情が一変。プロの目でも見分けがつかない2つのダイヤモンドに戸惑いを見せる。
参考引用:合成ダイヤの革命!中国の参戦で価格破壊も?:未来世紀ジパング

つまり、熟練のダイヤモンド商人ですら判別が不可能なレベルにまで品質が向上しており、天然ダイヤモンドを脅かす存在になりつつある。

これは天然ダイヤモンドと比較して「低品質」だとは一概に言い切れないのではないだろうか。

2.「権威ある宝石鑑定機関(IGI)が合成ダイヤの品質を認めた」

IGI(International Gemological Institute)
同社は世界で最も有名な宝石鑑定機関「GIA(米国宝石学会)」に次いで、ヨーロッパ圏で最高の権威を誇る宝石鑑定機関である。日本国内ではあまり見かけないが、海外市場だとIGI発行の鑑定書を見かけることも多い。

IGIは、人工ダイヤモンドの製造メーカーである「WD Lab Grown Diamonds」が生産したダイヤモンドの品質の高さ認めており、同じグレードの天然品と比べて30%以上割安な製品として人気が高まりつつあるのだ。

ここで注目すべきは「30%以上割安」という部分。

天然品の3割引で同品質の人工ダイヤが手に入るということは、品質によって高額な人工ダイヤモンドもあるということ。

つまり、人工ダイヤモンドが全て「安価である」という訳ではないことになる。

これも誤解と言えるだろう。正確には、天然品同様・品質によって価格は異なる。

3.「天然ダイヤ採掘の最大手が人工ダイヤの販売開始、人気に」

ダイヤ鉱山の世界最大手デ・ビアスは、原石の採掘から流通までを一手に行っている。

彼らは1888年の創業以来、ダイヤモンド鉱山を次々買収し市場を独占し、大きな影響力を誇っていた。そして、「ダイヤモンドは特別な宝石である」として希少性を持たせ、ダイヤモンドの価格帯を長年リードしている。

そんな天然ダイヤモンドのブランドイメージを作り上げてきたデ・ピアス社が、2018年に驚くべき発表を行った。

なんと、人工(合成)ダイヤモンドを9月にも初めて販売すると公式サイト内で発表。

「De Beers Groupは本日、Lightbox Jewelryと呼ばれる新会社の立ち上げを発表しました。これは、既存のラボよりも低価格で高品質のファッションジュエリーデザインを消費者に提供する、9月にLightboxの名前で実験室で成長したダイヤモンドジュエリーの新しいブランドを販売します」(後略)

参考引用:DE BEERS GROUP、ラボラトリー成長のダイヤモンドを搭載した新しいファッションジュエリーブランドを発表

彼らが販売する人工ダイヤモンドの価格は、天然品と比べて十分の一程度の金額である。更に天然ダイヤモンド鉱山の世界最大手「デ・ビアス」が2018年9月から人工ダイヤモンドの販売に乗り出す、というニュースは業界内でも大きな話題になった。

しかも、消費者には「品質に比べて価格が割安」と評判が良く、流通量は増加傾向にあるという。
※参考ニュース出典:「人工ダイヤ、「天然」最大手が販売 割安で人気」

これまでは「紛い物・偽物ダイヤ」と呼ばれ、誤解されることもあった人工(合成)ダイヤモンドであるが「好んで選ばれる時代が到来している」ということだろう。

ダイヤ市場の最前線では、人工ダイヤは「天然ダイヤの紛い物・偽物」と呼ばれる時代は既に終わった。

それは、天然ダイヤモンドを「希少で高額」と我々の脳内イメージとして刷り込み、人工ダイヤの市場流入が好ましくないと思われていた企業が、人工ダイヤの販売開始に踏み切ったことから分かるだろう。

これは、次に紹介する「天然ダイヤVS人工ダイヤの覇権争い」にも関連してくる。

4.「天然ダイヤVS人工ダイヤの覇権争い」

もう既に、天然ダイヤモンドの立場を脅かす存在になりつつある、人工ダイヤモンド。

若者への人気から需要が拡大し、宝飾用の合成ダイヤモンドの生産に乗り出す企業が増えてきている。

特に中国は、既に工業製品の研磨に使用される「産業ダイヤモンドの世界シェア9割」を誇っていたため、技術を転用し宝飾用ダイヤモンドの生産を急ピッチで拡大した。中国政府からの資金援助もあり、もはや国家の一大プロジェクトとして世界市場への参入を図っている。

天然ダイヤモンドの需要が低下することで、その市場規模は縮小、業界のスタンダードが入れ替わる可能性も否定できない。

実は、業界のスタンダードが入れ替わった日本の事例がある。

それは、養殖真珠による天然真珠市場の席捲だ。

1893年、御木本幸吉氏が世界で初めて真珠の養殖に成功した。しかし、天然真珠が希少品で高額だった当時、ヨーロッパ圏の宝石商社から「紛い物」として訴訟に発展する。しかし、1924年に「養殖真珠は紛い物」とする訴えが退けられて勝訴、世界中で養殖真珠の価値が認められることになった。

結果として養殖真珠の需要は右肩上がり、日本政府から「真珠養殖事業法(廃案済)」という法律まで作られ厚遇されるに至った。

天然品と養殖品の美しさに差分はあまりなく、結果として天然真珠の価値は暴落した過去がある。

人工ダイヤモンドの価値と歴史

ここまで読んでくれた皆さんは、人工ダイヤモンドの需要・人気が高いということが分かっているだろう。

国内外問わず、人工ダイヤはその歴史と共に、天然品と同じく鑑定対象にすべきか議論が続けられてきた。

まずは、今の人工ダイヤモンドの鑑定について見ていこう。

人工ダイヤモンドの鑑定について

天然ダイヤモンドにのみ鑑定書が発行され、合成ダイヤモンドは鑑別書内に簡易表記されるに留まることが多い。

例を挙げると日本国内では、数年前から宝石鑑別団体協議会(通称AGL)において人工ダイヤモンドのグレーディング評価である4C※が議論されていた。
(ダイヤ評価の最重要項目「カラット・カラー・カット・クラリティ」英字の頭文字で4Cと呼ばれる)

世界基準では、一部の有名鑑定機関は天然・合成ダイヤモンドを同じ様式で評価しているが、日本国内では宝飾業界からの反発もあり様式が分けられる事となった。

AGLにおいては、ダイヤモンドの起源が天然であるか・合成であるかを明確に区別した上で、鑑別書が発行されている。

この際に、希望に応じて合成ダイヤモンドのグレード表記を認めており、天然ダイヤモンドと違い簡略的な表記で示されることになっている。

宝飾市場の反発と鑑定機関

AGLの「人工ダイヤモンドのグレーディングは行わない」という方針が決定されたのは、2018年末に国内外の世論を踏まえてである。

日本国内では合成・天然の住み分けがハッキリと線引きされているが、それは宝飾業界からの反発が大きいことの表れでもある。

一見して区別が難しくなってきた合成ダイヤモンドを、市場から排除する動きがあり、宝石鑑定機関もそうした事情に影響された部分もあるだろう。

実際、日本よりも合成ダイヤモンドの市場流通が先行している海外市場では、有名鑑定機関(IGI・HRD)が天然と同じ用語を用いたグレーディングを行っている。

海外では徐々に、鑑定基準が天然ダイヤモンドと同じになりつつあるのだ。

人工ダイヤモンドの歴史とその先

人工ダイヤモンドが宝飾品に用いられるまでには、様々な時代背景と共に技術発展してきた。

今から50年以上遡った1970年代には、既に宝飾用途の合成ダイヤの製造に着手されていたのだ。

【人工ダイヤモンドの進歩と歴史】

年代事柄
1970年代カラット・サイズの宝石品質のHPHT法による合成ダイヤモンドが製造される。しかし、コスト面では天然とは競合できない水準であった。
1993年米国のCHATHAM社が宝飾用合成ダイヤモンドを販売する旨の声明を発表する。
1995年日本で初めて鑑別機関へのHPHT法による合成ダイヤのグレーディング依頼があった。
2003年Apollo Diamond社(米国)が宝飾用途として世界初「CVD合成ダイヤモンド」の商品展開を発表。
2005年Newsweek誌で宝飾用のCVDダイヤモンドが取り上げられた。
2006年2003年にCVD合成ダイヤモンドの商品展開を発表したApollo Diamond社が、ついに販売を開始。
2008年日本の鑑別機関へCVDダイヤモンドの鑑定依頼が複数確認された
2010年GEMESIS社(米国)が宝飾用途のCVDダイヤモンドの販売を開始
2015年宝飾業界が騒然「小さな合成ダイヤが天然品に混ざって宝飾品に混入していた」
2018年ダイヤモンド採掘最大手「デ・ビアス社」が宝飾用の合成ダイヤモンドの商品展開を開始。

1970年代に登場した初期の人工ダイヤモンドの製法は「HPHT法(高温高圧法)」と呼ばれるもので、天然ダイヤモンドの結晶が作られる地下120km下の環境を人工的に再現し、その高い圧力と温度によって綺麗なダイヤモンドを作るというもの。

しかしながら、まだまだコスト面の課題が残っていた。

そして、2005年に宝飾用の「CVD法(化学気相蒸着)」を用いたダイヤモンドが紹介され、品質の高さ・コスト面から話題となった。

CVD法とは、HPHT法(高温高圧法)と異なり、化学的な手法を用いてダイヤモンドの結晶を作る方法。化学的な不純物を細かくコントロール可能であり、ダイヤモンドの特性を自由自在に変化させた合成が行えるという利点を持つ。

つまり、品質のコントロールや色合い調整が人為的に行いやすく、宝飾用としての活路が拓けたという訳だ。

その結果、2015年には合成ダイヤモンドがジュエリーに混入しており、一見しての判別が難しいレベルになっていることを宝飾業界を危惧し始める。

2003年の人工ダイヤモンドの販売開始から15年後の2018年。

とうとう、天然ダイヤの採掘事業で世界トップシェアを誇るデ・ビアス社が、人工ダイヤモンドの販売に踏み切るまでに至っているのだ。

これからの技術発展次第ではあるが、より低コストでクオリティーの高い合成ダイヤモンドの生産が可能になるだろう。

例えば、ダイヤモンド4C評価の一角を担う「カット」という面では、優れたカットデータを記録することで、特殊な3Dプリンターを用いた量産が可能になるのではないかという噂もある。

天然品では数少ない品質を求めて、合成ダイヤモンドのニーズが高まっても不思議ではないのだ。

人工ダイヤモンドの誤解と価値「まとめ」

以上、人工ダイヤモンドの「安価・低品質・紛い物」というイメージを覆す事実や、その歴史・鑑定についてお伝えした。

技術の進歩に伴い、天然品と区別がつかないほどの人工品が生産可能になったダイヤモンド。

世界最大手の採掘業者であるデ・ピアス、そして国家プロジェクトとして人工ダイヤモンド市場のシェアを急速に拡大する中国企業。

ダイヤモンド業界では人工品を排除する動きが見られる一方、需要の大きさから方針転換する企業も増えてきている。

日を追うごとに品質の差が縮まる中で、養殖真珠と天然真珠のような逆転現象が起きるのか。

ただ、以前と比べて人工ダイヤモンドの需要が高まった分、天然ダイヤモンド市場が影響を受けていることは間違いないだろう。

人工ダイヤモンドが市場を席捲する可能性から、天然ダイヤモンドの価値低下が危惧されている。駆け込み需要なのか、売却ユーザーも増加傾向にある。

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